手術前の術前処置は何のためにするの?

手術関連

こんにちは、忘れるのが得意な看護師の雪です。

今回は私が初めて看護師として配属された消化器外科病棟で、毎日のように予定入院の患者様に行なっていた術前処置について、なぜするのか、話していきたいと思います。

術前処置は何のためにするの?

私たち看護師は入院時のルーティンや医師の指示のもと術前処置を行いますが、それらの処置をするにはもちろん理由があります。その処置をなぜするのかを知って、患者様に説明しながら実施した方が患者様も安心して処置を受け、手術に向かっていけると思いますので、参考にして下さい。

・除毛・臍処置

 目的:体毛や垢が手術により体内に残留し、異物反応により炎症や膿瘍を起こすのを防ぎ、創傷治癒を促進するため。

・足背動脈マーキング

 目的:術中・術後の深部静脈血栓症の早期発見(足背動脈触知の左右差、および触知の有無)+下肢の浮腫・冷感等。

・爪の手入れ・マニキュアの除去

 目的:爪の先や爪の間に存在する細菌を減らし、創部に触れたときに感染する機会を減らすため。また、マニキュアをしていると、パルスオキシメーターが正常に動作しなかったり、チアノーゼの発見が遅れたりすることがあるため。

・入浴、清拭、および洗髪

 目的:皮膚を清潔にし、細菌を洗い流すことで感染の機会を減らすため。

・前日の下剤内服や当日の浣腸処置(腸内容物の排除)

 目的:麻酔による筋弛緩作用で排泄物が漏出し、手術野や手術器具類を汚染することを防ぐため。また、メタンガスの貯留による電気メスでの爆発事故を防ぐため。また、腹部の手術の際の視野確保のため。

・手術前の経口摂取制限

 目的:手術中の嘔吐による気道閉塞や誤嚥による肺炎、消化器手術の場合の漏出による汚染などを防ぐため。

・バイタルサイン測定

 目的:発熱や血圧異常がないかなどを観察し、手術可能かどうか判断するため。術前と術中の血圧を比較し、必要に応じて術中に血圧調整を行うため。

・身長・体重の測定

 目的:術中の術後の体内循環量や薬液の適正量、麻酔の量などを計算するため。

・更衣

 目的:手術による衣服の汚染を防ぐことや術中・術後の管理がしやすいいような衣服にするため。

・装飾品の除去

目的:手術に不要なものは手術室に持ち込まないようにすることで、手術の妨げにならないようにすることと、手術の際の不意な事故を防ぐため。電気メス使用時に装飾品による火傷のおそれ。
例)指 輪:むくみによる循環障害。火傷。
  貼付剤:火傷。(湿布は除去必須。フランドルテープなどの循環器系貼付剤は医師に出棟時貼付していくのか確認を。)
  義 歯:誤飲。
  化 粧:顔色の変化やチアノーゼの発見の遅延。
  

・前投薬(プレメディpremedication)

 目的:手術に対する不安や緊張を除去、全身麻酔導入時の除脈改善、気道分泌を減少させて無気肺などのリスクを軽減するなどの効果がある。

 例)アタラックス-P…術前の悪心や嘔吐を予防したり、不安や緊張を抑えたりする効果がある。
   硫酸アトロピン…唾液分泌、気道分泌、胃液、膵液などの分泌や消化管運動を抑制(副交感神経の動きを抑える)する効果がある。

おわりに

よくある術前処置等をまとめてみました。
新人看護師や外科に配属された看護師の参考になれば嬉しいです。

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