【知らなきゃまずい!】術後合併症について

手術関連

こんにちは、物忘れが得意な看護師の雪です。

今回は消化器外科の主な術後合併症について記事にまとめてみました。

術後出血

出現しやすい時期

術直後~48時間以内に発生する。
術後出血は麻酔からの覚醒や血圧が上昇することで収縮していた血管が拡張するために出現する。通常は3~4日でほとんど止血される。

症状

手術によりある程度の出血が生じるのは、異常ではない。術後もしばらく出血が予想されるときは、排液用のドレーンを挿入することもある。血性排液が100ml/H以上の出血が続くと出血性ショックを起こすことがある

観察

ドレーン性状・量、血圧、脈拍、意識レベル、冷汗・チアノーゼ等

呼吸器合併症

出現しやすい時期

無気肺は術後3日以内に発生しやすく、無気肺を放置するすると肺炎に移行する。肺炎は術後3~5日頃に発生しやすい。

症状・観察

無気肺になると、発熱や呼吸困難感がみられ、聴診では患部の呼吸音が減弱する。肺炎に移行すると、患部に異常な副雑音(粗い断続性ラ音:ボコボコボコ、ゴロゴロゴロ、低音性の連続性ラ音:グーグー、ギュー)が聴取される。さらに、菌が繁殖すると白黄色~痰黄色の痰が喀出されることもある。

看護

吸痰や吸入、体位ドレナージ等排痰援助。

縫合不全

出現しやすい時期

術後4~10日までに起こりやすく、多くは一度下がった吸収熱が再燃することによって発見される。

原因

栄養障害(低タンパク血症、貧血、ビタミン欠乏症など)、代謝障害(糖尿病、慢性腎不全など)、高齢、免疫抑制薬・副腎皮質ステロイド薬の長期服薬など。

症状

縫合不全があると、限局性の疼痛や圧痛がある。発熱、脈拍増加、白血球増加、CRP上昇がみられることもある。さらに、創部の回復が遅れるだけでなく、敗血症を引き起こして、多臓器不全に進行することもある

予防と対応

・効果的なドレナージをし、縫合部への圧を減らして癒合を妨げないようにする

・血糖値のコントロール
 ・抗生剤投与
 ・疑わしい所見がある場合は、絶飲食とし、医師に報告
・再手術

術後せん妄

出現しやすい時期

術後1~2日程度して一旦落ち着いた患者さんが、急に錯乱、幻覚、妄想状態を起こし、1週間前後続いて次第に落ち着いていくという特異な経過をとる。

対応

患者さんの安全の確保、不安を取り除くような関わり、睡眠・覚醒リズムの調整、早期離床、幻覚や妄想が強い場合は、薬物療法を行う。

手術部位感染(SSI)

出現しやすい時期

術後30日以内。人工物が挿入されている手術では1年以内。

症状

38℃以上の発熱、頻脈、血圧やSPO2の低下、呼吸数の増加、意識レベルの変化、冷汗、白血球・CRPの上昇。創部の発赤・腫脹・熱感、膿や浸出液の出現、ドレーン排液の混濁

予防・対応

抗生剤投与、創部の洗浄など

術後疼痛

出現しやすい時期

麻酔効果の消失直後または術後数時間~10数時間が強いといわれている。多くは、術後1~5日程度で緩和していく。

疼痛を我慢することによる影響

換気障害、換気不全、筋緊張、離床の遅延

疼痛コントロール

鎮痛薬(麻薬:フェンタニル、モルヒネ塩酸塩など、非ステロイド性消炎鎮痛薬、NSAIDs、硬膜外麻酔持続注入。

看護ケア

バイタルが問題なければ積極的に疼痛コントロールを行う。クッションなどを用いた体位変換。体動時や咳嗽時の創部への手当ての指導、心理的アプローチ(順調に経過していることを説明等)

術後イレウス(術後腸管麻痺)

出現しやすい時期

開腹手術後、72時間以上経過しても腸管運動がない場合に診断。

症状

食欲減退、腹部膨満、嘔吐、排ガスや排便の停止、腸蠕動音の減弱など

予防

体位変換や早期離床により、腸蠕動を促す。

深部静脈血栓症

出現しやすい時期

術直後~1週間程度が発生しやすい。臥床期間が続くほど発症リスクも継続する。

症状

肺塞栓症…急激な呼吸困難、冷汗、動悸、意識障害、発熱、胸痛など

深部静脈血栓症…下肢全体の腫脹・鈍痛・緊満感、皮膚の色調変化(紫色・赤色)、表在静脈の怒張、足関節背屈時の下腿三等筋の痛み(ホーマンズ徴候)など

深部静脈血栓症への予防対応

早期離床、弾性ストッキングの着用、フットポンプの使用、点滴や経口からの水分補給。

さいごに

一般的な手術の術後合併症についてまとめました。

看護師の観察と 早期発見・報告により、これらが重症化しないよう看護の参考になれば嬉しいです。

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